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エンド ユーザー エクスペリエンス モニタリング(EUEM)とは
エンド ユーザー エクスペリエンス モニタリング(EUEM)とは、ビジネスの生産性を向上させる目的で、デバイス、ネットワーク、クラウド、アプリケーションにわたるユーザーのエンドツーエンド ワークフローのパフォーマンスを分析するものです。従来のネットワーク モニタリングでは、ネットワーク中心のメトリクスの測定やネットワーク ログの収集が一般的だったのに対し、エンド ユーザー エクスペリエンス モニタリングでは、ユーザー ジャーニー全体のさまざまなメトリクスを測定、分析します。
デジタル エクスペリエンス モニタリングの仕組み
EUEMは、一般的なネットワーク モニタリング ソフトウェア以上の機能を提供します。アプリケーションのパフォーマンス管理とより密接に連携したITサービスですが、名前が示すとおり、ユーザー エクスペリエンスの全体的な正常性に焦点を当てています。EUEMはIT部門がリアルタイム分析、自動修復、エクスペリエンス管理ダッシュボード、従業員のセンチメント データを使用してエクスペリエンスをモニタリングするうえで役立ちます。
EUEMは、ユーザー エクスペリエンスの問題を迅速に軽減し、解決することを目的とした負荷分散ソフトウェアの一種として捉えることができます。
エンド ユーザー エクスペリエンス モニタリングの種類
多くのEUEMツールは、ITのリアルタイムの観測性を向上させるうえで独自の役割を果たします。代表的な例として、以下のようなツールが挙げられます。
- アプリケーション パフォーマンス モニタリング(APM) (Webアプリおよびモバイル アプリの監視を含む)
- JavaScriptインジェクション
- エンド ユーザー モニタリング
- リアル ユーザー モニタリング
- 合成モニタリング
- トランザクション モニタリング
- APIモニタリング
IT部門はこれらのモニタリングを活用することで、診断の実行、根本原因の分析、バックエンドのパフォーマンス問題の修正が可能になるため、ボトルネックや遅延、読み込み時間を削減すると同時に、応答時間も短縮できるようになります。
エンド ユーザー エクスペリエンス モニタリングがビジネスに役立つ理由
ユーザー エクスペリエンスのメトリクスが組織にとってパフォーマンスの重要な指標となった今、ITリーダーは一般的な応答時間、可用性、稼働時間だけにとどまらない、より広範な測定値を必要としています。コロナ禍が鎮静した後も、以前よりも分散したリモートの働き方は続くと見られ、結果としてエンドポイントや接続性、アプリケーションのパフォーマンスに対する可視性が制限されます。このため、インターネット サービス プロバイダー(ISP)や自宅のWi-Fiで発生した問題など、組織では制御できない問題に対して脆弱なままとなります。
デジタル エクスペリエンス モニタリングに関するGartnerのマーケット ガイドでは、新しいEUEMテクノロジーを次のように定義しています。「アプリケーションや関連リソースとやり取りする際のエンド ユーザー エクスペリエンス(外部の顧客や従業員も対象)を可視化するもので、これらのリソースは、IaaS (Infrastructure as a Service)やSaaS (Software as a Service)などのクラウドベースの形態をとるものが増えている一方、オンプレミスのコンポーネントも維持しているものも多くあります。エンド ユーザー エクスペリエンス モニタリングは、インフラ、アプリケーション、ビジネス プロセスにまたがるもので、エンド ユーザー エクスペリエンスを包括的に把握し、それらをビジネスの成果へとつなげていきます」
エンド ユーザー エクスペリエンス モニタリングが必要な理由
従業員がネットワークに接続してデータ センター内のアプリケーションにアクセスする従来型のネットワーク モデルでは、可視性が必要なすべてのシステムとツールをIT部門が所有しているため、問題や障害を簡単にモニタリングできます。しかし、現在の環境では、従業員がリモートで作業しながら、SaaSアプリケーション(Microsoft 365、Workday、Salesforce、Zoomなど)やパブリック クラウドまたはプライベート クラウドにある内部アプリケーションに接続するケースが多くなっています。
これらの環境には、Amazon Web Services (AWS)のSAPアプリケーションやAzureのOracleデータベースが含まれる場合もあります。それぞれのサービスが独自のパフォーマンス モニタリング機能を提供するため、情報のサイロ化が生じています。このようなクラウド サービスの利用が増加し、BYODやリモート ワークが急速に普及する中、従来のモニタリング ツールではエンド ユーザーとアクセスするアプリケーション間の経路を可視化できなくなっています。
デジタル エクスペリエンス モニタリングに関するGartnerのマーケット ガイドでは、次のように指摘しています。「SaaSプロバイダー独自のモニタリング サービスは、ユーザー視点のパフォーマンスやエクスペリエンスを可視化できないため、顧客に適切な情報を提供できないばかりか、組織の業務自体を危険にさらすことにもなりかねません。また、すでにユーザーに影響を及ぼしている障害にもかかわらず、プロバイダーがそれをすぐに認めようとしないケースもあります」
こうした背景から、組織にはエンド ユーザー エクスペリエンスに関する実用的なパフォーマンス メトリクスが求められています。しかし、アプリケーションがクラウド上にあり、ユーザーがネットワークの境界外にいる場合、ネットワークやアプリケーション、システムのデータを収集して計測するというのは簡単なことではありません。インターネットが企業ネットワークとして機能し、データ センターからクラウドへの移行が進む中で、従来型のモニタリング ツールでは計測できないものを可視化することは不可能なのです。
エンド ユーザー エクスペリエンス モニタリングのメリット
エンドユーザー エクスペリエンス モニタリング ソリューションは新しい働き方に適応し、以下を提供することで、より優れた可視性モデルを実現します。
- エンド ユーザーのデバイス、ネットワーク経路、アプリケーションのパフォーマンスを中断なくエンドツーエンドで可視化し、ユーザー エクスペリエンスに関する包括的なインサイトを提供する
- 平均検出時間(MTTD)と平均修復時間(MTTR)を改善し、アプリケーションのダウンタイムによるコストを削減する
- エンド ユーザー エクスペリエンスの問題を事前予防的に検出し、トラブルシューティングと診断を実施する
- エンドポイント メトリクスとイベントに関するデータをまとめて提供
EUEMプラットフォームを活用することで、ユーザー満足度の向上、ページの読み込み時間の短縮、カスタマー エクスペリエンスの改善が可能になります。そして次のステップは、自社に最適なEUEMプラットフォームを見つけることです。
多くのベンダーが「クラウド向けに構築」された「総合的な」EUEMソリューションをアピールしていますが、実際は複雑さとコストを増加させる仮想化されたポイント製品の場合がほとんどです。
必要なのは既存の環境とシームレスに統合し、翌日からでもエクスペリエンスを向上させられるような実績あるクラウドネイティブなプラットフォームです。Zscaler Digital Experienceは、まさにその条件を満たすプラットフォームです。
Zscalerのエンド ユーザー エクスペリエンス モニタリング
Zscaler Digital Experience™ (ZDX™)はクラウド配信型のデジタル エクスペリエンス モニタリング サービスであり、Zscaler Zero Trust Exchange™の一部を構成しています。ZDXは単一機能の製品を複数展開することなく、組織内のユーザーが使用するあらゆるデバイスのエンド ユーザー エクスペリエンスを測定します。エンド ユーザーのデバイス、ネットワークの経路、アプリケーションの問題の特定に役立つデータをまとめて確認できるため、問題の修復とデジタル ビジネスの業務に集中できるようになります。
ZDXの特長は以下のとおりです。
- エンド ユーザーが使用するすべてのデバイスのエクスペリエンスをベンチマークしてモニタリング
- 会社、場所、部門全体のエクスペリエンスのビューを提供
- Zscalerの全機能を1つのアプリで利用できる実績のあるエージェント(Zscaler Client Connector)を使用
- SaaSやカスタム アプリのフルパスを可視化してモニタリング
- Zscalerのグローバル クラウドを活用してモニタリングを行い、IPを拒否リストから保護し、ピアとの比較でパフォーマンスを測定することで、同じ地域の他のユーザーが同様の問題に直面していないかどうかを確認
他のEUEMプロバイダーはクラウド向けに製品を構築していないため、従来のオンプレミスのユース ケースにしか適していません。ZDXはクラウド用に構築された世界最大のインライン セキュリティ プラットフォームであるZero Trust Exchangeを活用することで、モニタリング行動を最適化できます。また、実績あるエージェントのZscaler Client Connectorを用いて、何百万ものデバイスで動作することが可能です。加えて、ZDXは数時間でセットアップが完了し、追加のハードウェアやソフトウェア、または大量の未処理かつ低質のアラートを保存するための大規模なストレージ クラスターなどを導入する必要はありません。